内装

既存建築の骨格が持つ力強さを活かしながら、左官・木・金属・タイルといった素材の質感を丁寧に再編集した、非常に完成度の高いリノベーションインテリアです。最大の特徴は、古い梁や柱をあえて意匠の中心に据え、空間の履歴を残しつつ、オリーブグリーンやベージュの左官壁、ダークブラウンの木部、黒い金物で全体を引き締めることで、温もりと緊張感が同居する独自の世界観を形成している点にあります。

平面構成は、タイル床の前室的なゾーンから木床の奥空間へと段階的に切り替わる計画となっており、来訪者の体験が単調にならず、奥へ進むほどに空間の魅力が深まる構成です。中央にゆとりある通路を確保しつつ、窓際や壁際に作業台・カウンター・什器を整理して配置することで、作業性と回遊性を両立。アトリエ、ショップ、ショールーム、予約制サロンなど、多様な用途に柔軟に対応できる高い汎用性を備えています。

また、水回りの造作が空間価値を大きく高めています。円形の洗面カウンターは彫刻的な存在感を持ち、マットブラックのボウルと水栓が空間全体の静かな高級感を強調。一方でサニタリーは、ネイビータイル、ブラックの鏡、ゴールドの水栓によって、より濃密で非日常的な演出が施され、施設全体のホスピタリティを印象づけます。照明計画も、ダクトレールとスポット、柔らかな壁付照明を使い分けることで、素材の陰影と奥行きを美しく引き出しています。

外観は土壁を想起させる落ち着いた左官仕上げで街並みに静かに佇みながら、開口部越しに内部の木質感と灯りがにじみ、控えめでありながら強い個性を放ちます。総じて本計画は、素材の本質を活かした上質な設計、用途に応じた柔軟な空間構成、そして記憶に残る体験性を兼ね備えた、提案力の高いインテリアデザインです。

鎌倉彫金工房

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