展示会のシステムブースは、規格部材を組み合わせて施工する方法で、1小間30万円〜80万円が相場です。木工ブースとの違いや、コスト削減・短納期といったメリットのほか、デザイン面などのデメリット、魅力的に見せるコツを解説します。
展示会の出展準備を進める過程で「システムブース」という言葉を耳にしたものの、その具体的なイメージが湧かない方も多いのではないでしょうか。予算や準備期間に制約がある中で、木工ブースとどちらを選ぶべきか、判断に迷うこともあるかもしれません。
この記事では、展示会のシステムブースの特徴や種類、メリット・デメリット、費用相場、魅力的にデザインするコツについて詳しく解説します。限られた予算で効果的な出展を実現したい方は、ぜひ参考にしてください。
展示会のシステムブースとは
展示会のシステムブースとは、あらかじめ規格化されたシステム部材を組み合わせて構築する展示ブースです。レゴブロックのように既成パーツを組み合わせるイメージで、アルミフレームやパネルなどの部材を縦横に配置し、壁面や展示台、看板を作り上げます。
システム部材は展示会終了後に回収され、次回の展示会で再利用されます。これにより、一から制作する木工ブースと比べて、短期間・低コストで構築できる効率重視の施工法です。
部材の形や大きさはあらかじめ決まっているため、デザインの自由度は木工ブースに比べて低くなりますが、規格内での工夫次第で魅力的なブースを作ることが可能です。
システムブースは、主にアルミ素材のポール(柱)とビーム(梁)を組み合わせ、白色や黒色のベニヤ板やパネルをはめ込んで構成されます。
一般的には、シルバー色のフレームと白色のパネルが主流ですが、近年ではカラーバリエーションも増えており、企業のブランドカラーに合わせた演出も可能です。
システムブースと木工ブースの違い
展示会のブースには、システムブースのほかに「木工ブース」もあります。木工ブースは木材を使用し、展示会ごとに一から設計・制作するブースです。部材のサイズや形、種類に制限がなく、カラーや仕上げに工夫を加えることで、デザインにこだわった表現が可能です。
決定的な違いは「再利用性」と「デザイン自由度」にあります。システムブースは規格部材を再利用することで、コストと納期を抑えることが可能です。一方、木工ブースは完全オーダーメイドでブランドの世界観を表現できる反面、制作費が高く、準備期間も長くなります。
どちらを選ぶかは、予算とブランド世界観のバランスで判断するとよいでしょう。コストを抑えながら複数回出展したい場合はシステムブース、ブランドイメージを強く打ち出したい場合は木工ブースが適しています。
また、メンテナンス性や環境負荷の観点では、再利用可能なシステムブースが、現代的な企業ニーズに応える選択肢となります。
システムブースの主な種類
システムブースにはいくつかの種類があり、それぞれ異なる特徴や視覚的印象を持っています。自社のコンセプトや、展示する商材に合った部材を選ぶことで、システムブースでも効果的な訴求が可能となります。
オクタノルム
オクタノルムは、世界標準のアルミフレームシステムとして広く使用されている部材です。汎用性が高く、整然とした印象を与えるため、多くの展示会で採用されています。基本はシルバー色ですが、黒や白などのカラーバリエーションもあり、企業のブランドカラーに合わせた選択が可能です。
部材の規格が統一されているため、組み立てが容易で、設営時間の短縮にもつながります。世界中で使用されている信頼性の高いシステムで、初めて展示会に出展する企業でも安心して利用できる部材といえるでしょう。
マキシマライト
マキシマライトは、オクタノルムよりも柱が太く、ダイナミックで高級感のある印象を与える部材です。フラットな面が多いため、装飾を美しく見せやすく、ワンランク上の質感を求める企業に適しています。
システムブースでありながら、上質な雰囲気を演出できるため、高価格帯の商材や洗練されたイメージを打ち出したいブランドにおすすめです。また、オクタノルムと組み合わせて使用することで、メリハリのあるブースデザインを実現できます。
イソゴン
イソゴンは、三角形を基本単位としたユニークな構造の部材です。幾何学的なデザインが特徴で、独創的な空間演出を可能にします。一般的な四角形のフレームとは異なる視覚的インパクトを与えるため、他社ブースとの差別化を図りたい場合に非常に有効です。
ただし、特殊な形状であるため、取り扱いには専門的な知識が必要な場合があります。施工業者によっては対応できないこともあるため、採用を検討する際は、事前に施工業者に確認することをおすすめします。
トラス
トラスは、三角形の骨組み構造を持つ部材で、力強くスタイリッシュな印象を与えます。高さを出しやすく、重いモニターや照明器具を吊り下げられるため、インパクト重視のブースには最適です。
コンサート会場や大規模イベントでも使用される耐荷重性の高い部材で、展示会でも天井から製品を吊るしたり、大型モニターを設置したりする際に活躍します。
無骨な印象を与えることもありますが、工業製品や先進技術を扱う企業にとっては、その力強さがブランドイメージに合致することもあるでしょう。
シーマオービット
シーマオービットは、曲線的なデザインを実現できる部材です。通常のシステム部材は直線的な構成が中心ですが、シーマオービットを使用することで流れるような曲線美を表現でき、柔らかく洗練された印象のブースを作り出せます。
ただし、特殊な部材であるため、取り扱いができる施工業者が限られる場合があります。採用を検討する際は、事前に施工業者が対応可能かどうかを確認しておきましょう。
ファブリック
ファブリックブースは、システム部材と布(ファブリック)素材を組み合わせた展示ブースです。近年のトレンドである大型の布プリントを活用することで、つなぎ目のない美しい仕上がりを実現します。さらに、バックライトで光らせる演出も可能で、視覚的なインパクトを高めることができます。
ファブリック素材は、折り畳むことでコンパクトになり、運搬や保管が容易です。グラフィックデザインにこだわったブースを作りたい企業や、大きなビジュアルで訴求したい商材に最適な選択肢といえるでしょう。
展示会でシステムブースを使うメリット
システムブースには、予算やスケジュールに制約がある企業にとって、魅力的なメリットがいくつもあります。
デザインや施工のコストを抑えやすい
システムブースの最大のメリットは、コストを抑えられることです。レンタル部材を使用するため、材料費が安く、組み立てもシンプルで専門技術が少なく済むため、人件費も抑えられます。木工ブースと比較すると、大幅なコスト削減が可能です。
浮いた予算を集客用の動画制作やノベルティ、デジタルコンテンツなどの投資に回せば、マーケティング全体の費用対効果を高められるでしょう。営業責任者の立場から見ても、限られた予算を戦略的に配分できる点は非常に魅力的です。
ブースの設置・解体がしやすい
規格化された部材を組み合わせるだけなので、設置と解体が簡単に行えます。展示会前後の現場での拘束時間が短縮され、スタッフの負担が軽減されるという実務上の利点は見逃せません。
設営作業に多くの時間を取られることなく、来場者対応や商談準備といった本来の目的に集中できるため、展示会当日のパフォーマンス向上にもつながります。
準備期間が短い
形や大きさが決まっているシステム部材を使用すれば、ブース設営にかかる準備期間の短縮が可能です。展示会までの期間には、ブースデザインの検討だけでなく、資料作成やプレゼンテーションの準備など、やるべきことがたくさんあります。
システムブースは、部材がほとんど既製品であるため、設営までの工程を最小限に抑えることが可能です。急な展示会出展の決定にも柔軟に対応できる機動力は、大きな強みといえるでしょう。
環境に優しい
システムブースは、使い捨ての廃材がほとんど出ないため、環境負荷が低い施工法です。部材を繰り返し使用できるため、廃棄物の発生を大幅に抑えられます。
企業のSDGsへの取り組みをアピールできるブランディング上の価値もあり、環境に配慮した企業姿勢を示すことで、取引先や消費者からの評価向上にもつながるでしょう。
展示会でシステムブースを使うデメリット
システムブースには多くのメリットがありますが、デメリットもしっかりと理解したうえで選択することが重要です。ただし、これらのデメリットはプロの工夫によって解消できる場合もあります。
デザインの自由度が低い
システム部材は規格が決まっているため、他社と似た印象になりやすいという課題があります。木工ブースと比較すると、細かいサイズ指定や複雑な造形が難しく、デザインの自由度は低くなります。
ただし、この制約を逆手に取ることで、次章で解説するようなデザインの工夫を施し、システムブースでも十分に差別化が可能です。
オリジナル性や高級感に欠ける
既製の部材を使用するため、無機質になりやすく、高級感を出しにくいという側面があります。ブランドイメージを重視する高価格帯商材では、木工ブースの方が適している場合もあるでしょう。
とくに、シルバー色のアルミフレームと白色パネルの組み合わせは、シンプルで清潔感がある一方で、画一的な印象を与えてしまう可能性があります。
壁に釘やビスを打てない
システムブースは、レンタル部材を使用しているため、壁として使用するパネルに釘やビスを打つことができません。そのため、自由な位置にパネルを固定できず、展示品の配置に制約が生じる場合があります。
代替案として、専用の棚やS字フックを利用して展示品を配置する方法があります。施工業者に相談すれば、釘やビスを使わずに効果的なディスプレイを実現するアイデアを提案してくれるはずです。
システムブースが向いているケース
初めて展示会に出展する企業や、コストを重視する企業にとって、システムブースは理想的な選択肢です。また、複数回出展する予定があり、資材を使い回したい場合も、再利用可能なシステムブースのメリットを最大限に活かすことができます。
さらに、環境配慮を企業の強みとしてアピールしたい企業や、準備期間が限られている中で急な出展が決まった企業にもおすすめです。システムブースは、効率性と実用性を重視する企業のニーズに応える施工法といえるでしょう。
システムブースの制作費の目安
システムブースの制作費用は、規模や使用する部材によって異なりますが、1小間(3m×3m)あたり30万円から80万円程度が相場です。一方、木工ブースは1小間あたり50万円から100万円以上が目安となるため、システムブースのほうがコストを抑えやすいことがわかります。
ただし、この費用は電気工事や備品レンタル料が含まれるかどうかで変動するため、見積もりを取る際には内訳を詳しく確認することが重要です。また、照明の数や特殊な什器の使用、グラフィックパネルの制作費などによっても総額が変動します。
予算計画を立てる際は、ブース制作費だけでなく、展示会出展料や運搬費、スタッフの人件費なども含めた全体像を把握しておきましょう。
展示会のシステムブースを魅力的にデザインするポイント
システムブースのデメリットを解決し、制約がある中でも魅力的なブースを作るためのコツを紹介します。
あえて無機質さを活かす
システムブースの無機質な印象は、IT分野や先進的な商材を扱う企業にとっては強みになります。アルミの質感は、近未来感やスタイリッシュさを演出できるため、むしろ積極的に活かす逆転の発想が有効です。
テクノロジー系の製品やデジタルサービスを展示する場合、シルバーのフレームとシンプルな構成が、先進性や信頼性を強調します。照明の使い方やデジタルサイネージとの組み合わせで、洗練された空間を作り出すことができます。
木工ブースと組み合わせる
全体の骨組みはシステムで安く抑えつつ、目立つ看板や展示台だけを木工で制作する「ハイブリッド施工」は、コストとデザインを両立させる実践的な解決策です。
たとえば、壁面や展示台の基本構造はシステム部材で組み、来場者の目に最初に入る正面の看板だけを木工で制作することで、予算を抑えながらもインパクトのあるブースが実現できます。
システムブースの効率性と木工ブースのデザイン性を組み合わせることで、最も費用対効果の高い出展が可能となるでしょう。
まとめ
システムブースは、規格化された部材を組み合わせて構築する、効率重視の施工法です。コストを抑えるだけでなく、設置・解体が容易なため、準備期間も短縮できます。デザインの自由度が低いという側面はありますが、プロの工夫次第で魅力的なブースを作ることが可能です。
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